電気工事を業として行う場合には、建設業許可とは別に、電気工事業法に基づく登録・届出等が必要となる場合があります。電気工事業登録の制度、電気工作物の種類、4種類の電気工事業者、登録・届出の要件、必要書類などについて解説します。

電気工事業登録とは?建設業許可との違い・必要な手続き

電気工事を業として行う場合には、建設業許可とは別に、電気工事業の業務の適正化に関する法律(電気工事業法)に基づく登録・届出等が必要となる場合があります。


「建設業許可の電気工事業を取得しているから、電気工事を自由に行える」と考えてしまう方もいますが、これは正確ではありません。
建設業許可は、建設工事を請け負うための制度です。
一方、電気工事業法は、電気工事業を営む者について登録・届出等を義務付け、電気工事の適正な施工を確保することを目的とした制度です。
そのため、建設業許可を取得している建設業者であっても、電気工事業を営む場合には、電気工事業法に基づく「みなし登録」または「みなし通知」などの手続きが必要となります。
このページでは、電気工事業登録の制度、電気工作物の種類、4種類の電気工事業者、登録・届出の要件、必要書類などについて解説します。


電気工事業登録とは
電気工事業法に基づく登録・届出制度

電気工事業を営もうとする者は、原則として、電気工事業法に基づき、都道府県知事または経済産業大臣への登録等の手続きが必要です。
電気工事業法は、電気工事業を営む者について登録その他の規制を行うことにより、電気工事の適正な実施を確保し、一般用電気工作物等や自家用電気工作物の保安を確保することを目的としています。

建設業許可を持っていても別途手続きが必要

ここは非常に重要なポイントです。
例えば、建設業者が「電気工事業」の建設業許可を取得している場合でも、電気工事業法上の手続きが不要になるわけではありません。
建設業許可を受けている事業者が電気工事業を営む場合には、原則として、

  • 一般用電気工作物等に係る電気工事も行う場合 → みなし登録
  • 自家用電気工作物のみに係る電気工事を行う場合 → みなし通知

という手続きになります。


建設業許可と電気工事業登録の違い


項目 建設業許可 電気工事業登録等
根拠法 建設業法 電気工事業法
主な目的 建設工事の適正な施工・請負の規制 電気工事の適正な施工・保安の確保
対象 建設工事 電気工事
「電気工事業」との関係 建設業許可の29業種の一つ 電気工事業を営むための登録・届出等
両方必要になる場合 あり あり

つまり、建設業許可と電気工事業法上の登録等は、別の制度として考える必要があります。


電気工作物の分類

電気工事業登録を理解するためには、まず「どのような電気工作物を対象とする工事なのか」を理解することが重要です。
電気事業法では、電気工作物について一定の区分が設けられています。

一般用電気工作物等

一般用電気工作物等とは、一般家庭や小規模な店舗などで使用される電気工作物等を指します。
概括的には、一般家庭、商店等の屋内配線設備などが代表例です。
現在の制度では、小規模事業用電気工作物も「一般用電気工作物等」に含めて扱われています。

自家用電気工作物

自家用電気工作物とは、需要家が自ら使用するために設置する電気工作物のうち、一定のものをいいます。
代表的なものとして、大規模なマンション、ビル、オフィス、工場などの電気設備が挙げられます。
なお、自家用電気工作物のうち、最大電力500kW未満の需要設備などが電気工事業法上の「自家用電気工事」の対象となります。

電気事業の用に供する電気工作物など

発電所、変電所など、電気事業の用に供する設備や、一定の大規模な需要設備などについては、電気工事業法上の一般的な登録制度とは異なる規制が関係する場合があります。
そのため、工事対象となる電気工作物の種類・規模を確認したうえで、必要な手続きを判断することが重要です。

電気工作物の分類と電気工事業法上の関係


区分 主なイメージ 電気工事業法との関係
一般用電気工作物等 一般家庭、店舗、小規模な事業所など 登録電気工事業者等の対象
自家用電気工作物 ビル、工場、事業所などの一定の設備 登録または通知の対象となる場合あり
その他の事業用電気工作物 発電所、変電所等 電気事業法等による別の規制が中心

実際の区分は、電圧、設備の種類、受電規模、発電設備の有無などによって判断する必要があります。


電気工事業者登録の種類

電気工事業法上の電気工事業者は、建設業許可の有無と、どの種類の電気工事を行うかによって、次の4種類に区分されます。
経済産業省は、現在の制度において「登録電気工事業者」「通知電気工事業者」「みなし登録電気工事業者」「みなし通知電気工事業者」の4種類としています。

4種類の電気工事業者の比較


種類 建設業許可 行うことができる電気工事 手続き
登録電気工事業者 なし 一般用電気工作物等・自家用電気工作物 登録
みなし登録電気工事業者出 あり 一般用電気工作物等・自家用電気工作物 開始届出
通知電気工事業者 なし 自家用電気工作物のみ 開始届出
みなし通知電気工事業者 あり 自家用電気工作物のみ 開始届出

このように、建設業許可を持っているかどうかと、一般用電気工作物等の工事を行うかどうかによって、必要となる手続きが変わります。

登録電気工事業者とは?

建設業許可を受けていない事業者が、一般用電気工作物等または自家用電気工作物に係る電気工事を行う場合には、原則として「登録電気工事業者」として登録を受けます。

みなし登録電気工事業者とは?

建設業許可を受けた建設業者が、一般用電気工作物等または自家用電気工作物に係る電気工事を行う場合には、「みなし登録電気工事業者」として開始届出を行います。
建設業許可を取得したからといって、自動的に電気工事業法上の登録が完了するわけではありません。別途、電気工事業法上の届出が必要です。

通知電気工事業者とは?

建設業許可を受けていない事業者が、自家用電気工作物のみに係る電気工事を行う場合には、「通知電気工事業者」として事業開始の通知を行います。

みなし通知電気工事業者とは?

建設業許可を受けた建設業者が、自家用電気工作物のみに係る電気工事を行う場合には、「みなし通知電気工事業者」として事業開始の通知を行います。


都道府県知事と経済産業大臣のどちらに手続きするのか?

電気工事業法上の登録等については、営業所の所在地によって提出先が変わります。
原則として、営業所が一つの都道府県の区域内にのみ存在する場合は都道府県知事、二以上の都道府県に営業所を設置する場合は国の機関が関係します。
経済産業大臣への手続きについては、実際の提出先が産業保安監督部等となる場合があります。
例えば、複数の都道府県に営業所を設置して電気工事業を営む場合には、都道府県知事ではなく国側への手続きとなるため注意が必要です。


電気工事業登録の要件

電気工事業を営む場合には、単に申請書を提出するだけではなく、電気工事業法上の一定の要件を満たす必要があります。

主任電気工事士を置く必要がある

一般用電気工作物等に係る電気工事を行う営業所については、原則として「主任電気工事士」を置く必要があります。
主任電気工事士となることができるのは、第一種電気工事士、または第二種電気工事士免状の交付を受けた後、電気工事について3年以上の実務経験を有する第二種電気工事士など、所定の要件を満たす者です。
なお、自家用電気工作物に係る電気工事のみを行う営業所については、主任電気工事士の設置義務の扱いが異なります。

営業所ごとに確認が必要

電気工事業法上の「営業所」は、名称ではなく実態によって判断されます。
単に本店・支店という名称だけで判断するのではなく、電気工事の施工管理を行う店舗であるかどうかを確認する必要があります。

必要な器具を備え付ける

電気工事業者には、営業所ごとに必要な器具を備え付けることが求められます。
申請・届出の際には「備付器具明細書」を提出することになります。


電気工事業登録の必要書類

必要書類は、登録電気工事業者なのか、みなし登録電気工事業者なのか、また一般用電気工作物等の工事を行うのか、自家用電気工作物のみなのかによって異なります。

登録電気工事業者の場合

一般的には、次のような書類を準備します。

  • 登録電気工事業者登録申請書
  • 誓約書
  • 登記事項証明書(法人の場合)
  • 主任電気工事士等の実務経験証明書
  • 主任電気工事士等の電気工事士免状の写し
  • 雇用関係を確認できる書類
  • 備付器具明細書
  • その他、行政庁が求める書類

実際の必要書類は申請者の状況によって異なります。

みなし登録電気工事業者の場合

建設業許可を受けている事業者の場合は、みなし登録の開始届出を行います。
主な書類として、

  • 電気工事業開始届出書
  • 建設業許可証等の写し
  • 登記事項証明書等
  • 備付器具明細書
  • 主任電気工事士に関する書類
  • その他、必要な確認書類

などがあります。
経済産業省では、みなし登録電気工事業者の開始届出について、保安ネットによる電子申請にも対応しています。

通知電気工事業者・みなし通知電気工事業者の場合

自家用電気工作物のみに係る電気工事を行う場合には、「通知電気工事業者」または「みなし通知電気工事業者」として開始通知を行います。
一般用電気工作物等の工事を行う場合と必要な手続きが異なりますので、自社がどちらに該当するのかを最初に確認することが重要です。


電気工事業登録をしないとどうなる?

電気工事業法の対象となる電気工事を営む場合に、必要な登録・届出等を行わないまま営業することはできません。
「建設業許可を取得しているから大丈夫」と判断してしまうケースがありますが、建設業許可と電気工事業法上の手続きは別制度です。
電気工事を実際に受注・施工する前に、自社に必要な登録・届出等を確認しておくことが重要です。

建設業許可の「電気工事業」があれば、電気工事業登録は不要ですか?

いいえ、建設業許可と電気工事業法上の登録・届出等は別の制度です。
建設業許可を受けた事業者が電気工事業を営む場合でも、電気工事業法に基づく「みなし登録」または「みなし通知」の手続きが必要となります。

第二種電気工事士がいれば電気工事業登録ができますか?

第二種電気工事士の資格だけで判断することはできません。
一般用電気工作物等に係る電気工事を行う場合には、主任電気工事士の要件などを確認する必要があります。
第二種電気工事士の場合、免状交付後の3年以上の実務経験が主任電気工事士の要件との関係で重要になります。

建設業許可を持っていない会社でも電気工事業登録はできますか?

はい、建設業許可を持っていない事業者でも、電気工事業法上の要件を満たせば「登録電気工事業者」または「通知電気工事業者」として手続きをすることができます。

営業所が東京と埼玉にある場合、東京都だけに登録すればよいですか?

営業所が複数の都道府県にまたがる場合には、都道府県知事への登録ではなく、国側への手続きが必要となる場合があります。
営業所の所在地と電気工事の種類を確認したうえで、提出先を判断する必要があります。

電気工事業登録をした後に営業所や主任電気工事士を変更した場合は?

変更内容に応じて変更届等の手続きが必要となります。
例えば、登録電気工事業者については、変更があった日から30日以内に変更届出を行う制度があります。


行政書士に電気工事業登録を依頼するメリット

電気工事業の手続きでは、最初に「自社がどの種類の電気工事業者に該当するのか」を判断することが重要です。
特に、

  • 建設業許可を取得している
  • 建設業許可の「電気工事業」を取得予定
  • 一般用電気工作物等と自家用電気工作物の両方を扱う
  • 営業所が複数の都道府県にある
  • 主任電気工事士を誰にするか検討している
  • 第二種電気工事士の実務経験を確認したい

といったケースでは、必要な手続きを整理するだけでも一定の専門知識が必要になります。
当事務所では、会社の事業内容や建設業許可の取得状況、営業所の所在地、主任電気工事士の資格・実務経験などを確認したうえで、必要となる電気工事業法上の手続きを整理し、申請・届出をサポートします。
電気工事業登録や、建設業許可を取得した後の「みなし登録」「みなし通知」についてお困りの方は、お気軽にご相談ください。


無料相談受付中