建設業法における軽微な建設工事とは?建設業許可が不要となる工事について

建設業許可が不要となる「軽微な建設工事」について解説します。建設業法における建設業の定義、軽微な建設工事の範囲、請負代金の考え方などを分かりやすくご説明します。

建設業法における軽微な建設工事とは?


建設業を営むためには、原則として建設業許可が必要です。
しかしながら、すべての建設工事について許可が必要となるわけではありません。
建設業法では、一定規模以下の工事を「軽微な建設工事」と定めており、この範囲内の工事のみを請け負う場合には、建設業許可を取得しなくても営業することができます。
もっとも、

  • 500万円とは税込なのか?
  • 材料費は請負代金に含まれるのか?
  • 機械器具設置工事では機械の代金も含まれるのか?

など、判断に迷うケースも少なくありません。
このページでは、軽微な建設工事の範囲について分かりやすく解説します。


このページのポイント
  • 軽微な建設工事に該当するかどうかは、税込の請負代金の総額で判断します。
  • 建築一式工事は「1,500万円未満」または「延べ面積150㎡未満の木造住宅」のいずれか、それ以外の28業種は「500万円未満」が基準です。
  • 材料費・機械代金・運搬費なども請負代金に含めて判断するため、工事費だけを見て許可の要否を判断すると誤りやすい点に注意が必要です。
  • 契約を複数に分割しても、実質的に1つの工事であれば合算して判断されます。


建設業とは?

建設業法では、「建設業」とは、建設工事の完成を請け負う営業をいいます。

建設業法第2条第2項
「この法律において『建設業』とは、元請、下請その他いかなる名義をもってするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業をいう。」

つまり、

  • 元請業者
  • 下請業者
  • 一人親方
  • 法人・個人事業主

であるかを問わず、建設工事を請け負って営業する場合には、建設業法の適用を受けます。


軽微な建設工事とは?

建設業法では、一定規模以下の工事については建設業許可を不要としています。
軽微な建設工事とは、次のいずれかに該当する工事をいいます。

建築一式工事の場合

次のいずれかに該当する工事です。

  • 請負代金が1,500万円未満(税込)の工事
  • 延べ面積150㎡未満の木造住宅工事

どちらか一方に該当すれば軽微な建設工事となります。

建築一式工事以外の場合

建築一式工事以外の28業種については、

  • 請負代金が500万円未満(税込)の工事

が軽微な建設工事となります。

建設業許可が必要となるケース

したがって、次のような場合には建設業許可が必要といことになります。

  • 建築一式工事で1,500万円以上の工事を請け負う場合
  • 建築一式工事以外で500万円以上の工事を請け負う場合

この金額を超える工事を営業として請け負う場合には、建設業許可を取得しなければなりません。
以上の金額は、すべて税込みの総額で判断されます。


工事の種類 建設業許可が不要となる範囲
建築一式工事

①請負代金1,500万円未満(税込)
または
②延べ面積150㎡未満の木造住宅工事

建築一式工事以外(28業種) 請負代金500万円未満(税込)


請負代金に含まれるもの

前項までの金額の判断基準、すなわち「500万円」や「1,500万円」を判断する際には、工事代金だけではなく、工事に含まれる材料費なども含めて判断します。
例えば、

  • 材料費
  • 部材代
  • 運搬費
  • 輸送費
  • 設備機器代

など、請負契約に含まれている費用は請負代金に含まれます。
したがって、

  • 工事費だけなら500万円未満だから許可は不要

とは判断できない場合があります。

【事例】機械器具設置工事では機械の代金も請負代金に含まれる

一例として、機械器具設置工事では、

  • エレベーター
  • コンベヤー
  • 大型機械設備

などの機械本体を設置する工事が多くあります。
この場合、設置する機械本体も材料の一部として考えられるため、機械代金を含めた請負代金で判断します。
例えば、
エレベーター本体: 450万円
据付工事費: 80万円
合計請負代金: 530万円
という工事の場合、工事費だけを見ると80万円に見えますが、機械本体を含めた請負代金は530万円となるため、軽微な建設工事には該当せず、建設業許可が必要となります。

契約を分割した場合の扱い

1つの工事を複数の契約に分割して締結し、それぞれの契約金額を軽微な建設工事の範囲内に抑えようとするケースがあります。
しかし、正当な理由がなく1つの工事を分割して契約した場合は、原則として各契約の請負代金を合算した金額で軽微な建設工事に該当するかどうかを判断します。
工期を空けて発注される別々の工事など、実質的に別個の工事であると認められる場合は合算されませんが、判断が難しいケースも多いため、注意が必要です。

附帯工事の扱い

許可を受けている建設業に係る主たる工事に附帯する「附帯工事」については、その附帯工事に係る建設業許可を受けていなくても施工できる場合があります。
ただし、附帯工事の内容や金額によっては別途取扱いが分かれるため、個別の工事内容を確認する必要があります。

解体工事業登録との関係

解体工事については、建設リサイクル法により、軽微な建設工事に該当し建設業許可が不要な場合であっても、都道府県への「解体工事業者登録」が別途必要となる場合があります。
建設業許可(解体工事業)を取得している場合はこの登録は不要ですが、許可を取得せずに解体工事のみを軽微な範囲で請け負う場合には、登録の要否を必ず確認してください。


軽微な建設工事の範囲内でも許可を取得するメリット

軽微な建設工事のみを請け負う場合でも、あえて建設業許可を取得するケースがあります。

  • 元請・取引先からの信用力の向上
  • 500万円以上の工事を受注できる営業機会の拡大
  • 公共工事の入札参加資格(経営事項審査)を得るための前提
  • 金融機関からの融資審査における評価

事業の将来性や取引先からの要望によっては、軽微な工事の範囲内であっても許可取得を検討する価値があります。


軽微な建設工事かどうか迷ったら

実際の契約の場面などでは、

  • 契約の方法
  • 材料の支給方法
  • 工事内容

などによって判断が難しいケースもあります。
許可が必要にもかかわらず無許可で営業した場合には、建設業法違反となる可能性があります。
判断に迷われた場合には、事前に専門家へ相談することをおすすめします。


よくある質問(FAQ)

500万円は消費税込みですか?

はい、請負代金は消費税を含めた金額で、軽微な工事に該当するか、建設業許可が必要かなどを判断します。

お客さんが材料を支給する場合はどうなりますか?

注文主から無償で提供された材料については、通常は請負代金に含まれません。
一方、請負契約の中に材料費が含まれている場合は、その金額も含めて判断することになります。

工事費だけなら500万円未満ですが、材料費を含めると500万円を超えます。

請負代金全体で判断するため、建設業許可が必要となる可能性があります。

1つの工事を2つの契約書に分けて、それぞれ500万円未満にすれば許可は不要になりますか?

正当な理由なく1つの工事を分割して契約した場合は、各契約の金額を合算して判断されます。
分割契約による許可逃れは建設業法違反となるおそれがあるため、避ける必要があります。

無許可で500万円以上の工事を請け負ってしまった場合、どうなりますか?

無許可営業は建設業法違反となり、罰則の対象となる可能性があります。
また、発注者との契約自体が無効になるわけではありませんが、信用面での大きなリスクにもなります。
心当たりがある場合は早めにご相談ください。

一人親方(個人事業主)でも軽微な建設工事の基準は同じですか?

はい、法人・個人事業主・一人親方を問わず、同じ基準(建築一式工事1,500万円未満、その他28業種500万円未満)で判断されます。

解体工事を500万円未満で請け負う場合、何か手続きは必要ですか?

建設業許可(解体工事業)を取得していない場合は、建設リサイクル法に基づく解体工事業者登録が別途必要になることがあります。
軽微な工事だからといって手続きが一切不要になるわけではない点にご注意ください。


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