
建設業許可を取得するためには、営業所ごとに一定の要件を満たす営業所技術者等(旧・専任技術者)を配置する必要があります。
営業所技術者等については、
などを、申請書類や各種の確認資料によって証明する必要があります。
とくに国家資格ではなく実務経験によって営業所技術者等の要件を満たす場合には、過去の工事について多くの資料を準備しなければならないことがあります。
このページでは、営業所技術者等について、どのような資料によって要件を確認・証明するのかを整理して解説します。
営業所技術者等については、単に資格や実務経験を有しているだけでは足りません。
原則として、申請する建設業者の営業所に常勤して専らその職務に従事することが必要となります。
そのため、申請時には、営業所技術者等が申請会社に常勤していることを確認できる資料を準備します。
必要となる資料は、個人事業主か法人か、また申請者との関係などによって異なります。
個人事業主本人が営業所技術者等となる場合には、法人の役員や従業員とは異なる確認方法となります。
また、個人事業主の事業主本人ではなく、従業員を営業所技術者等として配置する場合には、その従業員が事業所に常勤していることを確認できる資料が必要となります。
具体的な確認資料については、申請先行政庁の最新の手引き等に基づいて準備する必要があります。
法人の場合には、営業所技術者等が法人の役員であるか、従業員であるかなどによって確認資料が異なる場合があります。
例えば、
などが、常勤性を確認するための資料として用いられることがあります。
ただし、必要書類は申請先や個別の事情によって異なるため、実際の申請では最新の手引きを確認することが重要です。
営業所技術者等については、「その会社に名前が載っている」というだけでは常勤性が認められるとは限りません。
とくに次のようなケースでは注意が必要です。
他の会社等から継続的に報酬を受けている場合には、申請会社に常勤していると認められるかについて慎重な確認が必要です。
例えば、複数の会社の役員を兼務している場合などには、実態としてどこに常勤しているのかが問題となることがあります。
営業所技術者等について、他社の代表取締役等を兼務している場合には、常勤性の確認が特に重要になります。
形式的に役員として登録されているだけなのか、実際にその会社の業務に従事しているのかなど、個別の事情を確認する必要があります。
社会保険上の扶養関係がある場合にも、常勤性との関係について確認が必要となる場合があります。
「扶養に入っているから直ちに営業所技術者等になれない」という単純な判断ではなく、実際の勤務状況や社会保険の加入状況などを含めて確認することが重要です。
出向によって営業所技術者等を配置する場合には、出向元・出向先との関係や、実際の勤務状況などについて確認が必要となります。
出向契約書など、出向関係を確認できる資料が必要となる場合もあります。
営業所技術者等については、申請する建設業の業種に応じて、一定の技術者要件を満たしていることを証明する必要があります。
技術者要件の確認方法には、主に、
などがあります。
どの資料が必要となるかは、営業所技術者等として配置する方が、どの要件によって資格を証明するのかによって異なります。
国家資格によって営業所技術者等の要件を満たす場合には、原則としてその資格を有していることを確認できる資料を提出します。
例えば、
などが考えられます。
なお、資格によっては、取得した資格だけで希望する建設業の業種について営業所技術者等になれるとは限りません。
取得した資格が、申請する業種の営業所技術者等の要件を満たす資格であるかを確認することが重要です。
監理技術者資格によって要件を証明する場合には、監理技術者資格者証など、資格を確認できる資料を使用します。
監理技術者としての資格要件と、建設業許可における営業所技術者等の要件との関係についても確認する必要があります。
海外の資格や一定の特殊な資格等について、国土交通大臣の認定を受けている場合には、その認定を確認できる資料を提出します。
外国人技術者などの場合には、海外で取得した資格や学歴・職歴が関係するケースもあるため、通常の国家資格の場合とは異なる確認が必要となることがあります。
国家資格等を持っていない場合でも、一定の実務経験を証明することによって営業所技術者等の要件を満たせる場合があります。
ただし、実務経験によって要件を満たす場合には、「何年間建設業に従事していたか」だけではなく、その期間にどのような工事に従事していたのかを証明することが重要です。
実務経験を積んだ会社が、証明する期間に建設業許可を取得していた場合には、その建設業許可の内容を確認できる資料を利用できる場合があります。
例えば、
などです。
許可を取得していた業種や、実際に従事していた工事の内容を確認しながら、実務経験として認められる期間を整理します。
なお、東京都知事許可の場合は、許可番号、許可業種及びその許可期間を申請書の「実務経験証明書」(様式第九号)の備考欄に記入すれば、上記資料を省略することが可能です。
実務経験を積んだ会社が建設業許可を取得していなかった期間については、その期間に実際に建設工事を行っていたことを、契約書や注文書などによって証明する必要があります。
例えば、
などの資料を組み合わせて、実際に工事を請け負っていたことを確認します。
ここで特に注意したいのが、実務経験なら何でもよいわけではないという点です。
例えば、電気工事業の営業所技術者等の要件を実務経験で証明する場合には、電気工事に関する実務経験を証明する必要があります。
「建設会社で働いていた」というだけでは、希望する業種の実務経験として認められない場合があります。
そのため、過去の工事について、
どのような工事だったのか → どの業種に該当するのか → 実務経験として認められるのか
を一件ずつ確認することが重要です。
一定の指定学科を卒業している場合には、通常必要となる実務経験の期間が短縮される場合があります。
例えば、一定の指定学科を卒業している場合、
というように、通常の実務経験年数よりも短い期間で営業所技術者等の要件を満たせる場合があります。
そのため、国家資格を持っていない場合でも、まずは最終学歴と卒業した学科を確認することが重要です。
指定学科とは、建設業法上、一定の技術に関する学科として認められている学科をいいます。
単に「大学を卒業している」というだけでは足りず、どの学校のどの学科を卒業したのかを確認する必要があります。
指定学科の卒業によって実務経験期間の短縮を受ける場合には、通常、
などによって、卒業した学校・学科を確認します。
古い学校名や学科名の場合には、現在の名称との関係を確認する必要がある場合もあります。
実務経験を証明する場合には、その人物が実務経験を積んだ会社に実際に在籍していたことについても確認が必要となります。
例えば、
などによって、在職期間を確認します。
とくに実務経験を積んだ会社と現在の申請会社が異なる場合には、
「その会社で実際に働いていたこと」+「その期間に対象となる工事の実務経験を積んでいたこと」
の両方を証明する必要があります。
営業所技術者等の確認資料は、一律に決まっているわけではありません。
例えば、以下のとおりそれぞれのケースで必要となる資料が異なります。
| 要件の証明方法 | 主な確認内容 |
|---|---|
| 国家資格 | 資格を有していること |
| 監理技術者 | 監理技術者資格等 |
| 大臣認定 | 国土交通大臣の認定 |
| 実務経験 | 対象業種の工事経験・経験期間 |
| 指定学科 | 学校・学科の卒業 |
| 常勤性 | 申請会社に常勤していること |
そのため、申請を始める前に、どの要件によって営業所技術者等になるのかを確定し、その要件に合わせて資料を集めることが重要です。
営業所技術者等の確認資料については、次のような問題がよくあります。
国家資格を持っていても、その資格が申請する業種の営業所技術者等の要件を満たすとは限りません。
まずは「資格があるか」ではなく、その資格で今回申請する業種の要件を満たせるかを確認します。
実務経験があっても、過去の勤務先や取引先から資料を入手できない場合があります。
とくに古い工事については契約書や注文書などが残っていないこともあります。
このような場合には、代替資料によって証明できるか、申請先行政庁の取扱いを確認する必要があります。
「建設工事をしていた」というだけでは、実務経験の対象業種を判断できない場合があります。
工事の契約書や注文書等を確認し、実際にどのような工事を施工したのかを整理することが重要です。
資格がなくても営業所技術者等になれますか?
はい、一定の実務経験などによって要件を満たすことができる場合があります。
ただし、必要となる実務経験の期間や工事の種類、証明方法については、申請する業種や学歴等によって異なります。
実務経験を証明する書類が一部ありません。申請できますか?
可能性はありますが、どのような代替資料が認められるかは、申請先行政庁の取扱いによって異なります。
まずは手元にある契約書、注文書、請求書、入金記録、在職を確認できる資料などを整理することをおすすめします。
会社に長年勤務していれば実務経験として認められますか?
必ずしもそうとは限りません。
営業所技術者等の実務経験として認められるためには、対象となる建設業種について実際に工事の実務に従事していたことを証明する必要があります。
営業所技術者等の確認資料は会社が用意するものですか?
会社側で準備する資料と、営業所技術者等本人から提出してもらう資料の両方があります。
とくに資格証明や卒業証明、年金記録などは本人から取り寄せる必要がある場合があります。
営業所技術者等の要件は、建設業許可申請の中でも特に確認資料が多くなりやすい部分です。
とくに、資格がないので実務経験で証明したいというケースでは、過去の勤務先や工事資料までさかのぼって確認する必要があります。
また、実務経験の期間だけでなく、
などを総合的に確認する必要があります。
そのため、建設業許可申請を検討している場合には、申請直前になって資料を集め始めるのではなく、早い段階から営業所技術者等の確認資料を整理しておくことをおすすめします。
営業所技術者等については、単に資格証を提出するだけで済むケースもあれば、過去の勤務先や工事資料を一つずつ確認しなければならないケースもあります。
行政書士に依頼することで、
などをまとめて依頼することができます。
とくに実務経験によって営業所技術者等の要件を証明する場合には、最初に「本当に要件を満たせるのか」を確認してから資料収集を始めることが重要です。
当事務所では、現在お持ちの資格・学歴・職歴・工事経験などを確認したうえで、建設業許可取得の可能性と必要となる資料を整理してご案内しています。